2023年3月1日
太陽光発電は日本を救わないと主張する本を読んだ。
確かに太陽光発電の現状は効率が悪い。
広い面積が必要だし、夜や天気の悪い日は発電しない。
その制約から日本が必要とするエネルギーに対しての貢献度も低く主役にはなれない。
しかし、太陽光は各種エネルギーの中で、唯一燃やさない/動かさない(水流、風等)、
静的なエネルギーと思います。
またエネルギー自給率が極端に低い日本にとって自給できるエネルギーでもあります。
問題は太陽から来たこのエネルギーの受け取り方と思っています。
太陽光発電は有望と考えつつも、太陽光発電を含めた再生エネルギーの比率は将来的に
40%程度(内太陽光発電は20%程度)が限度かと考えています。
残りを原子力、火力に“一時的”に依存し、核融合につなぐという筋道を考えています。
その時までの原子力/火力の割合を少しでも小さくするという役割は決して小さいもの
ではありません。
その図書にもどります(以下の項目は図書内から私が勝手に抽出した項目です)。
東京都は2021年5月24日に住宅への太陽光パネル設置義務化の条例をまとめ、
都議会で採決されると、2025年4月からの施行が予定されている。
この条例案は、大手住宅事業者に対して、販売個数の85%以上に太陽光パネルの設置を
義務付けるというものだ。パネルの生産量はC国が突出していることから、場合によって、
巨額の国民負担で“ジェノサイドを支援することになりかねないと主張する。
(しかし、この根拠は確認できていない:小生注記)。
現時点の大きいパネルで考えれば、その通りかと思います。
この条例は大きいパネルをイメージしている。この法案のままでは問題が大きすぎ問題がありすぎる。
法案としての成熟度は低いと考えています。
個人的感想では、これは世界の関心事である環境問題について東京都の先進性をアピールしたいがため、
かつ何も動かない国への当てつけ、言い過ぎを恐れず言えば人気取りなのではと思っています。
しかし、足の引張りあい、(議員、団体の)自我の主張でかき混ぜ・牙を抜かれるか、
あるいは先伸ばしにされる法案成立過程において、
とにかく行動するのだという意思の表明はそれだけでも意味があると思います。
法案は技術的発展と時代の要求の変化に応じて修正されて行くべきと切に思っています。
私はこの決断に拍手を送りたい。
技術的観点から言えば、今後太陽光発電の主役はペレブスカイトと呼ばれる日本生まれの
布の様な発電素材に置き換わると考えています。
国内生産可能で軽量、かつ安価、輸送にも有利です。
ビルの壁面に、高速道路の遮音壁等に接着させることができます。
国内生産が可能なら他国の人道問題には関与しません。
また、二重投資で国民に負担が付け回されると指摘しています。具体的に見ますと、
電気を使う側からすると、電気は天気によらず昼夜を問わず電気は必要だ。
だから太陽光発電を導入しても、太陽が照っていないときのために、
火力発電の設備はやはり必要だ。太陽光発電は必然的に二重投資になる。
太陽光発電義務化の「正体」とは東京に日当たりのいい広い家を買って、
理想的な日照条件で太陽光発電パネルを設置屋根の向きを南向きで程良い傾斜になった
広い屋根とかを持つ家が主役ということになる。
この問題を考えるとき、まずは蓄電池の性能向上という技術革新を加えなくてはなりません。
NTTグループでは、独自の送電網を構築し、
メガソーラー発電所を含めた蓄電所の建設を行う計画を発表しています。
一時の余剰電力をため込んで夜間の必要なときに電力を供給するという試みです。
ペレブスカイトの使用の他、従来型の発電パネルでも高効率のパネルが行き渡れば、
火力など止めてしまえば良いと思います。火力も“一時”のつなぎではないでしょうか。
「東日本大震災があった2011年以降の電力不足解消のために停止中の原子力発電を再稼働し
火力発電所が次々と休廃止されるのを防ぎさえすれば良いのだが、
政府は国民に我慢ばかりを強いているばかりで抜本的対策を取らない。」。
と主張されています。
電力の不足は、一斉に止まってしまった原子力発電の分担分の穴埋め不足かと思います。
時代の変化点を迎えていると思っているんです。
“一時的に“という限定条件付きで原子力・火力の再稼働に賛成します。
でなければ日本の経済は大変なことになる。
原子力も技術が進んでおり新しい軽水炉型や小型の原子力発電所というアイディアも出ています。
しかし従来の(古い)原子力発電所と化石燃料(輸入)による
火力発電所の再稼働に手放しでは喜べません。
放射性廃棄物の無害化処理の技術開発は進んでいません。
仮に一時的という条件を付けたとして、
少なくなった原子力関連の技術者を養成することが可能でしょうか。
途中で停止し廃棄物を処理するという方法でも莫大な費用がかかり、
ひとたび事故が発生すれば致命的です。抜本的対策なのでしょうか。
世界各国で核融合発電の技術開発競争が激化しています。
2050年頃からと言われていましたが、かなり前倒しになりそうです。
中性子は出ますが、汚染物質を出さない夢のクリーンエネルギーです。
この間をつなぐ代替エネルギーといったイメージでしょうか。
太陽光も災害時、離島などで活躍する形に変わるかもしれません。
火力は確かに技術が進んで効率が格段に良くなってきています。
しかし火力の原料はやはり外国頼みです。自前のエネルギーを持つという必要です。
住宅火災が生じた際、太陽光パネルに放水すると、水を伝わって感電の危険がある。
水害が発生する箇所の設置については、感電の危険があり、注意を要する。
このような危険性があっても、パネル設置の義務化を強行するのかと主張されます。
しかし、これについても技術的な改良で克服できると信じています。
発電装置からの電流をまず止める安全装置の開発は技術的に可能と考えています。
そもそも太陽光発電は環境に優しいのかという疑問も提示されています。
重要な事と同感いたします。
太陽光発電は広く薄く分布する太陽や風のエネルギーを集めなければならない。
数多くの発電設備が必要になり、大量のセメント、鉄、ガラスなどの材料を
投入しなくてはならない。結果として廃棄物も大量になる。
地上に設置した場合は広い土地が必要になる。農地や森林がその代償として失われ、
景観の悪化については至る所に苦情が寄せられている。
施工が悪ければ台風などで破損したり、土砂災害を起こしたりして近隣に迷惑をかける。
施工の悪い危険なメガソーラーは全国至る所にある。
まず、大量のセメントを使用することは無い
(せいぜいPCSの基礎、連系変電所の基礎コンクリートだけである)。
いや、そんな個別の小さいことは良いとして、製品を大量に集結させての施設である。
それなりの材料の投入は当然のことと考えるが、現状のパネルを支える架台は、
アルミあるいは鋼材で構成されており、それほどの量にはなりません。
問題となっているのは、むしろパネルをならべる平地(実際はパネルを支える架台の設置場所)
の確保ための土工事かも知れません。
土を切れば、表土は雨と共に流出する。
私も多くの現場で濁水の発生を見てきました。いま、私はそのような土工部の不具合を修繕し、
開発に伴う損壊を防ぐ業務に従事しています。
重要なのは一度作られてしまったメガソーラーパークというものに問題が生じないように
大事に維持させて行く、必要なら蓄電池を加えて機能を向上させて行くことだと考えています。
今後、このような貴重な自然資源を犠牲にする開発は少なくなると考えています。
従来、あるいは現状の反省は必要かと思います。
しかし現状がおかしいからといって太陽光を全否定するのはおかしい。
技術は非常な速度で進んでいます。今までの問題を解消する改良が進んでいます。
将来の技術動向を踏まえて論じなければ奇妙な結論になる。
繰り返しますが、今はエネルギーにしても経済・産業にしても大きな転換期を
迎えているのだと考えています。
技術的な努力をしない国は衰退します。
偉そうに言いましたついでに、もう一点。技術の進化についてです。
実用化された革新技術は必ずと言っていい程、その反作用ともいうべき弊害を伴います。
新しい技術で一歩前進、遅れて弊害に対処して進む。
これを繰り返し進んで行く、例えば新幹線でも騒音の問題がありました。
ペットボトルのような便利品にしてもそうです。完全に解決はしていない。
けれでも技術の進歩とともに相当程度に改善してきています。時間がある程度かかるのです。
過渡期にいながら、環境問題への対応、自給率の向上、
安価で安全なエネルギーという制約のもと、もっと努力が必要と考えています。